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スタッフブログ

2017年2月24日 金曜日

ズーノーシス(人畜共通感染症)

ズーノーシスとは、脊椎動物と人との間に自然に移行しうるすべての病気または感染症のことです。
現在、日本国内で問題となるズーノーシスは、約20〜30種といわれています。その中からいくつか紹介していきたいと思います。

one咬まれたり引っかかれたりして感染するズーノーシス
 狂犬病・・・・狂犬病ウイルスにより感染。狂犬病は、媒介動物の唾液に接触することによって感染します。
・主な媒介動物は、イヌ、キツネ、アライグマ、スカンク、コウモリなど。人の潜伏期は、通常2〜8週間。症状は、咬傷部位の知覚異常、頭痛、発熱、呼吸・嚥下困難、錯乱、昏睡などであり、最後は呼吸麻痺によって死亡します(発症した場合の死亡率は100%)
・咬傷部位から神経細胞を伝い脳に達し発症するため、手足の咬傷より顔など脳に近い方が潜伏期が短い。
・動物の潜伏期は1週間〜3ヶ月間以上。狂犬病のイヌの場合、潜伏期でも症状の現れる3〜5日前から唾液中に病原体の排泄があり、感染力を持っているために注意が必要です。動物の場合も人とほぼ同じ症状を示し、死亡します。
・狂犬病は症状が発現したら死亡率は100%です。いつ狂犬病ウイルスが入ってくるかわからないため、予防(ワクチン接種)が大事です。狂犬病予防法により、生後91日以上のイヌには狂犬病ワクチンの接種が義務づけられています。

 ネコ引っかき病・・・・バルトネラ菌により感染。病原体を保有するネコに引っかかれる、咬まれることによって感染します。
・ネコノミが媒介し、ネコはグルーミングでその感染したノミ糞に触れて感染する。
・ネコにはほとんど症状が出ない。
・3〜10日間の潜伏期を経て、症状が発現。症状は、全身倦怠、関節痛、食欲不振、頭痛、吐き気、発熱など。
・引っかかれた、咬まれた部位は、感染後3〜10日目に紅斑を伴う丘疹あるいは膿疱が出現し、水疱を形成した後、痂皮が形成される。一般的に痒みはなく、瘢痕なしに治癒する。
・感染後1〜2週間以内に、圧痛、疼痛を伴うリンパ節の腫脹がみられるが、自然におさまることが多い(通常2〜4週間持続する)リンパ節が腫脹して医師の診察を受ける際には、動物との接触を申し出ること が大切です。
           
 パスツレラ症・・・・パスツレラ菌により感染。病原体を保有している動物(ほとんどがイヌとネコ)に、咬まれる、ひっかかれる、舐められることにより発症します。
・イヌやネコはほとんどが無症状。
・人の場合、菌の侵入後数時間以内に、創傷部位の赤色腫脹、激しい疼痛が現れる。炎症が深部にまで達した場合、皮下組織、健、鞘、骨膜、骨髄などの炎症、壊死を生じることがある。リンパ節の腫脹や発熱はほとんど認められません。
・パスツレラ症の原因菌は、イヌやネコの口腔内に常在している(特にネコの口腔内に高率に存在する)
・体力が低下したり免疫機構が低下している人が、これらの動物に濃厚に接触した場合には、直接咬まれたり引っかかれたりしなくても、呼吸器症状(慢性鼻炎、気管支炎など)や全身症状(髄膜炎、敗血症)をきたすことがある。
・治療は、創傷部位の水洗、消毒、抗生物質の投与を行う
・症状の進行が非常に早いので、手遅れにならないように速やかに処置を受けることが重要です。

 破傷風・・・・破傷風菌は、土壌やホコリの中に芽胞として存在する細菌で、乾燥状態では15年間以上、壊死組織中でも1ヶ月間程度残存する可能性があります。
・破傷風は、破傷風菌に汚染された土壌、ホコリなどが、創傷から人体内に侵入することによって感染します。
・通常は4日間〜2週間の潜伏期を経て、全身の横紋筋強直と自律神経の失調を引き起こします。呼吸筋の麻痺による窒息で死亡します。
・破傷風はズーノーシスではありませんが、動物の口腔内や体表に破傷風菌が付着し、それらが創傷部位から体内へ侵入する可能性があります。


two日常生活に関係の深いズーノーシス
 トキソプラズマ症・・・・トキソプラズマ原虫により感染。
・ネコの症状は一時的な下痢。
・後天性感染 後天性トキソプラズマ症は、ネコ科の動物の糞便中に排出される原虫、および食肉中の原虫を経口的に摂取して感染します。まれに、原虫が傷口や粘膜から侵入することもあります。症状としては、多くの場合、不顕性感染(感染はしているが、症状がない)です。ただし、一度に非常に多くの原虫感染を受けたり、AIDSや免疫抑制剤の投与などによって免疫不全の状態に陥っている場合には、発熱、貧血、発疹、リンパ節腫大、肝腫大、肺炎、脳膜炎などの症状が現れる。
先天性感染 妊婦が初感染した場合、胎盤を経て原虫が胎児へと移行することによって胎児が感染し、先天性トキソプラズマを発症することがある。症状は、原虫が母体から胎盤を経て移行した場合には、死流産を生じたり、あるいは網脈絡膜炎、脳水腫、脳内石灰化、神経・運動障害、発熱、リンパ節腫大、貧血、発育不良などを引き起こしたりすることがある。まれに、生後1〜10年以上経て、網脈絡膜炎や中枢神経障害が発現することもあります。
                                                                                            

 皮膚糸状菌症・・・・皮膚糸状菌(表皮菌、小胞子菌、白癬菌など)により感染。
・感染動物や感染者、あるいはそれらの皮膚病変や病原体で汚染された衣類、じゅうたんなどに接触して感染する。
・皮膚糸状菌症は、高温多湿の季節に多発する。
・10〜14日間の潜伏期を経て発症。皮膚糸状菌症は、病変の出現部位により異なる名称でよばれるが、動物から感染する可能性が高いのは、頭部白癬と体部白癬です。
頭部白癬 発赤、円形に広がる脱毛。痒みはない。
体部白癬 四肢および体幹に、強い痒みを伴う紅疹がいくつか散らばって出現。それぞれが輪状に拡大していく。
  幼虫移行症・・・・本来の寄生相手以外に侵入した寄生虫は、通常成熟することができずに死滅します。しかし、その過程で幼虫のまま種々の臓器を移動して病変を引き起こす場合があり、これを幼虫移行   症という。
・病原体の虫卵や小虫に汚染された土壌や水、野菜を経口的に摂取するか、病原体の寄生している動物との接触によって感染。
内蔵移行症 イヌ回虫、ネコ回虫により起こる。症状として、発熱、食欲減退、筋肉痛、発咳、喘息様症状、肝臓腫大、脾臓腫大、肺炎、脳炎などを引き起こす。眼球に移 行する場合も。
皮膚幼虫移行症 イヌ鉤虫、ネコ鉤虫により起こる。症状として、皮膚の痒みと紅斑。
           
 ・幼虫移行症については、特に都市部を中心とした公園の砂場がイヌやネコの糞に汚染されることによって感染する可能性があるため問題になることがあります。砂場で遊ぶ時は、顔(口)を触らせない、砂遊びの後には、十分に手指を洗うようにしましょう。衣服に砂とともに虫卵が付着している可能性もあるので、注意が必要です。

【犬回虫の成虫と卵】
                                       


【犬鉤虫の成虫と卵】
           


【犬回虫の成虫 上:雌  下:雄】
           



【猫回虫の成虫】
                                        



【猫鉤虫の成虫  左2つ:雌  右2つ:雄】
                                         
             

                                     

 蚊が媒介するズーノーシス
 ・ヒト・イヌ糸状虫・・・・イヌ糸状虫により感染。人がイヌ糸状虫の子虫を保有している蚊に刺されて感染(刺された際に、子虫が皮膚から侵入)
 ・人はイヌ糸状虫の本来の宿主ではないため、感染しても多くの子虫は体内移行中に死滅します。しかし、まれに咳、胸痛、発熱、呼吸困難、喀血、血痰がみられることも。イヌ糸状虫による幼虫移行症が起こった場合、死骸が肺動脈に塞栓して肉芽腫を形成することがある。
 ・非常にまれにしかみられない疾患である。
 ・日本脳炎・・・・蚊が日本脳炎ウイルス(フラビウイルス)を媒介することによって引き起こされる熱性疾患で、アジア全域に分布。突然の高熱から、頭痛、嘔吐など髄膜刺激症状が現れた後、意識混濁、けいれん、異常運動などの脳症状が現れる。日本国内では、ワクチン接種が義務づけられている。
 日本国内において蚊が媒介するズーノーシスは上記2種類がおもですが、海外ではデング熱(血液透過性異常、体液消失、血液凝固異常が特徴の疾患)、マラリア(特有の熱発作を反復する感染症)、黄熱(突然の発熱、頭痛、嘔吐、タンパク尿など)、バンクロフト糸状虫症(成虫は人のリンパ系に好んで寄生し、子虫を産出する。リンパの炎症を起こす)などもあり、渡航の際には注意が必要です。
  

                    
第2段へ続きます。   山崎さやか

投稿者 さとう動物病院